やっと来たNikonD800と共に憧れのニコ爺生活。写真撮ったり、北米語とイギリス英語の違いついて考察したり、デザインについて考えたり、外国生活について問答したり。それぞれの比重はそのときに興味あるものによって変化します。まあ、ちょっとマニアな話が多い。

2012/06/15

英語-本/映画/DVDレビュー: 「プロメテウス」才能の泉は枯れる

2012/06/15
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クマさんがもう何年も前から公開を楽しみにしていた映画、Prometheus (邦題:プロメテウス)私は別に大の映画ファンとかではないので、例によって全く前情報がない状態で見に行きました。先週末公開されたばっかりなので、映画館の一番大きいスクリーンで上映+満席だったよ。
上映中ずっと、なんか演出とかデザインがどこもかしこもエイリアンぽいな〜と思ってたら、エイリアン1を作った監督の最新作なんだってね。
ここから先ネタバレが含まれる場合があります。

感想から言うと、ま〜酷い映画でした。
よかったのは始まって、タイトルが出るまでの映像美ぐらいか?

  • ストーリーが酷い。酷いなんてもんじゃない。大人が鑑賞する作品としてのレベルがなく全ての設定が破綻している。
  • その上、ストーリーテリングも酷い(ノロノロ)ので、ギーガーのデザインを眺めてるだけでよだれだらだらって方以外は、最初の30分であくび出まくり。どう考えても先が予想できるこの運びで、こんなにノロノロやってたら、敵が出てきてびよーんでろでろってなるまでに一体何時間かかるの?と、心配になってしまうぐらいの退屈さ。
  • エイリアンオマージュなのは構わないけど、それにしても似過ぎ。ギーガーのデザインはすばらしいのはすばらしいけど、今となっちゃ、手垢がつきすぎて、今更ウォーホルのマリリンモンローもどきをドヤ顔で展示された気分。本人が手がけたデザインにしても、何かしらの新規性という者が欲しかった。
  • 登場人物が全員バカ&動機に乏しいので感情移入不可
これの前に見た映画が、ジョンカーターと言うそれはそれですごい駄作だったんだけど、これとあれ、どっちかどうして見なければいけないと言われたら迷わずジョンカーターを選択します。



























ここから先ネタバレ
主人公の女性が途中で下腹部に深い傷を負うんだけど、もうそこから先はその傷が気になって作品に集中する事が全く出来なくなった。そもそも、あれだけの科学の発達した世界でメスで切開したきれいな切り傷を、瞬時にくっつける事が出来ないっていうのがおかしい。クマさんはあの機械は緊急用だからとかいってたけど、じゃあ何でパワードスーツで推定120歳以上はいっているような老人が2足歩行できるように出来る程の技術があるのに、脳幹に直接作用して痛みを全部麻痺させるような、超強力痛み止めがないの?
あの注射とかタブレットって明らかに、ただの麻酔だよね?
第一、あの事件のあとにあんなに主人公を動かしまくるつもりなら、あんなに致命的な傷をあんなに早い時点で作ってしまったのは、脚本の失敗としか言いようがないんだけど。チャンバラ勝負が主体の映画で主人公侍が開始15分で四肢切断されてしまうに等しい。しかも、あれがあったからこその利点とかないし。

大体、下腹部というのは人間が動作するにあたって非常に大事な部位で、健康ならば全然気づかないけど、咳のし過ぎでなった腹部の筋肉痛でもわかるぐらい、力を入れようとするたびに、たとえ指を一本でも動かそうとするたびにそこの筋肉は使われている事が分かるはず。もっと体の上の方の傷ならともかく、下腹部を20センチ以上も切開した直後に、成人男性をロープでつり下げたり、1m以上もある裂け目をジャンプしたりとか、力が入らなくてどんなに根性ある人でも絶対無理だから。

もうこの点が気になって気になって、本当に映画どころではありませんでした。また、個人的に去年彼女の感じているだろう痛みに近い痛みを負う機会があったので、もうシンクロ率100%というかんじで、はっきり言って映像美がなんだろうとギーガーのデザインがなんだろうと、ただひたすら不快。不愉快。

無理に良かった点を上げると、映像がきれいだった。見た事ある感はおおいにあるけど、スペースモノとしてのデザインはまあまあ。シャーリーズセロンはきれいだね。(でも彼女のぴたぴたスーツが体に合っていなかったよ。パタンナー誰だよ!!)
映画の前に流れた、ディカプリオのギャッツビーが一番の見所だったよ!!!

ジョンカーターを見たときに、これは早くも今年最悪の映画に出会ってしまった・・・!!!と思ったんだけど、いやいや、上には上がおりました。今年は映画不作の年なのかなー。 いろんな意味で、アバター程の完成度の作品は数十年に1回しか現れないってことなんでしょうね。こんなん不快な思いをするんだったら家でスターウォーズでも見ている方が幸せでした。

あまりにも内容が衝撃的だったので、英語について書くのを忘れてしまった。(2012年6月25日追記)
主人公の女学者が、すごーくかわいらしいイギリス英語を話すのでイギリス英語好きの方は耳を澄ませて聞いてみてください。顔はアジア系と白人系のハーフみたいでどこの民族の人だかよくわからん顔だけど、声がめちゃくちゃかわいい。さらに調べてみたら、この人スウェーデン人なんだってね。矯正したイギリス英語だからあんなにきれいなのか。スウェーデン人ならばネイティブスピーカーでなくても発音矯正であそこまでのレベルに持っていけるのか。うらやましいなあ・・・。まあ、スウェーデン語は英語の発音を全部内包しているようなもんだからねぇ・・。

私のレビューではボロクソかいてるんだけど、みる人によってはすばらしい!ってレビューもあったり、みんなみる観点が違うから、違うレビューが生まれて、映画って面白いなあと思わされた作品でした。私は映像をみるより本を読む方が好きな方で、まずシナリオがしっかりしてないとだめなタイプなんで、本作はこういう評価です。