The Girl with the Dragon Tattoo by Stieg Larsson(邦名:ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女)
洋書を読むときにいっつも困るのは、何を読んだらよいか分からない。ということです。日本の本ならば今までの土壌があるし作者名やジャンルを見ればなんとなく、傾向とか自分が読みたいものかどうか分かると思うんですけど、洋書の場合、もう暗中模索で、いつも適当にベストセラーの上の方から買っては、「なんでこれ売れてるん?」みたいなことを繰り返していました。第一、日本語の本だったらベストセラーの本なんて絶対手を出さないタイプの人間なのに、言葉が変わったからって「売れてる本」が急に好きになるわけないじゃんか。
The Da Vinci CodeやThe Lovely Bones、Twilightなどは私の中で代表的な失敗作でございます。(しかしラブリーボーンズなどはアマゾンで見ると好意的な評価が多いので、いろんな見方があるんだなーと思いますが)とりあえず、私は売れている本とは相性がわるいのでございます。
年末年始のキンドル大バーゲンにつられて本を買いあさっていた折に、ひょんなことからThe Girl with the Dragon Tattooを見つけたのでした。キンドル本のランキングにかなり長い間(500日以上)ランクインしてるし、レビューも700件ぐらいあって星4つとかなりよさげな感じだったのでググッてみると、どうやらかなりのベストセラーの様子。しかも著者はスウェーデン人とか!?ベストセラーか・・・と思ったけど、これは試してみないわけにはいくまいということで、とりあえずトリロジーの1冊目にあたるDragon Tattooを読んで見ることにしました。
先に白状してしまうと、もう、続きが早く読みたくてしょうがない!
しかし、話題は逸れるが、この題名のThe Girl...って題名として最低だと思うんだけど、どうでしょうか?そうかといって、日本版のミレニアムっつーのもなんか急に陳腐に感じるし、続編のPlayed with FireとKicked the Hornets' Nestと合わせても、覚えにくいしGirlシリーズとかいうのもわかりにくいし、なんでこんなダメな題名にしたんだろう?スウェーデン語の原題は「女を憎む男たち(Män som hatar kvinnor)」らしく、こっちの方が内容にドンピシャだし全然いいんだが・・・。
ゲフンゲフン、レビューに戻ります。
いやー。ほとんどのレビューの様に、本当に面白かった!
著者がもともとジャーナリストということで、文体は極めて描写力が高く正確でフィクションなのにもかかわらずまるでなにかのレポートを読んでいるよう。読むだけで情景が頭の中で出来上がってくる感覚は、私の好きなGeorge Orwellにも通ずるところがあるかと・・・。そういえば彼もジャーナリスト出身ですしね。物語のプロットは結構複雑なんですが、それを一つ一つ紐解いていくような感覚が痛快で、後半一気に読んでしまいました。
英語はビジネス英語のようにシンプルで明快。その代わりに、専門用語やイディオムの量がちょっと多めなので、虱潰しに辞書引いてるとちょっと時間かかるかも・・。まあ、文の構造自体が簡単なので、辞書引かずに飛ばして読んでも全然オッケーな感じです。今回私は精読を心がけたので、結構しつこく辞書引いていったんですけど、辞書の1番目ではない意味で単語が使われていることが多く、「ああ、まだこんなに勉強が足りない」と思うと同時に基礎単語でここまでの多彩な表現が可能なのかと、かなり勉強になりました。
原文はスウェーデン語で書かれていて、この本は英語の翻訳本ですが翻訳自体も評価が高いようです。私は初めブリティッシュ・イングリッシュだと思ってました。調べてみると翻訳者のReg Keelandはアメリカ在住のようなので、アメリカ人でもうまい作家を探せばこういった文章を書く人に巡り合えるということなんでしょうね。(ルーツが英国人なのかもしれないし分からないけど)
舞台も冬の閉ざされたスウェーデンの田舎から色々世界を飛び回ったりするので、変化があり最初から最後まで飽きさせないです。冬のスウェーデンは3時で真っ暗とか、夏のスウェーデンは夜の11時でもまだガンガンに明るいとか、そういったところにまで思いを馳せられると更に面白いです。
難度的にはハリーポッターの終わりの方の巻と大差ないと思うので、児童書に飽きた方はぜひステップアップの第一歩にしてみてください。
読みやすさ ☆☆☆☆☆
熱中度 ☆☆☆☆☆
語彙(☆が多い程多い) ☆☆☆☆
達成感 ☆☆☆☆☆
(5点満点)
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